アリスは憂鬱な夢を視る　/　半無登録、指名制　/　NBL　/

>帽子屋

それは、難しそうやなぁ。そこで俺に出来ることがあるんやったら任せてくれるのは構わへんし、お世話になるんやから仕事があった方がええわ
(美しく笑みを咲かせる彼女から告げられたのは如何にも遵守出来なさそうな約束事で、思わずふっと目を細めて苦笑を零せば、暗に使われたって構わないと口にしよう。何よりも実際の所、やらなければならない事に追われていれば思考の暇もなくなり鬱々と暮らさないで済むだろうとそんな考えだってある訳で。勿論口にした言葉も本音であり、遠慮しないと言って朗らかに笑う彼女には是非も無くそうして貰いたい所だと微笑みを保ったまま頷いて。気にせず気にされず、それくらいの距離感が好ましい。きっと彼女なら直ぐにそれを察してくれるだろうと目を伏せて。「兎さんと鼠さんか、そら楽しそうな面々やね。片付けが出来んのは俺も似たり寄ったりやから気にせんよ。料理は…まあ、簡単なもんやったら作れん事もないねんけど、味は保証出来へんなぁ」白のコック、と何時までから分からないにしろ此処で暮らしていく以上必要だと思われる知識を脳に書き込んでいく。ついでに彼女は料理が苦手らしいとも。あれだけ恐ろしく思えた薔薇も、今は近くに人の気配がある所為か座り込んでしまう程の恐怖を覚える事もなく、甘い香りが薄まっていくにつれて体を縛っていた緊張が解れていくのを如実に感じる。内心ほっと安堵の息を吐いているところに此方を窺う視線に気が付けば視線を合わせ、探られているのが体調だと分かれば心配無いと言うように口元に笑みを浮かべてみせて。)