赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>コノエ
(どちらかと言うならば余り強いとは言えない体質のせいか、何度来ても庭園の匂いには慣れないらしい。明日をも分からない立場だろうに、その状態で己を気遣う彼の様子により濃い人柄が見えたような気がした。ふぅん、とつい漏れた感嘆符は抑えきれなかった関心ゆえか「アリスは優しいね。優しさが過ぎると子の国じゃ良い獲物になるから気を付けたほうが良いよ」少しでも薔薇の匂いを防ぐためか、鼻での呼吸をやめて口呼吸をしつつの喋り方はどこかくぐもったそんな声色でアドバイスのように「住人の殆どはアリスを思うがままに使いたくて仕方ないんだ」と今後をここで過ごすにあたり不安を抱いてしまうだろうそんな言葉を残し。行先さえも彼の好奇心と言うよりかは己のことを第一に考えたものだと察しが行く、人がいいというべきかお人よしと言うべきか、両方の瞼を落として数秒ほど気持ちを落ち着けるための間を作り上げてから彼の手を取り再度眼を開く「甘い物は好き?」唐突にも思えるそんな他愛のない質問を送れば「今日は君が主役の歓迎会をしないといけないから、とびっきりの御馳走をライオンに頼まないと。___そうそう、うちにはねコック……料理人がいるんだ。だから食事に困ることはないよ」取った彼の腕を引くように、もう片方の手は指先を丸めて鼻先へそっと宛がいつつ庭園を進み始め。幾度と曲がるのを繰り返せば漸く道が開けて途端に澄み渡るような木々の香りに代わり。そこで鼻に充てていた手を離せば一度だけ深く呼吸を行って「アリスの髪は夜の空みたいに綺麗だね」少しの余裕が生まれれば今度は長さがあればこそ、広がるようなキャンパスのような彼の容姿に「僕は空の色が好きなんだ」と軽口を添えて)
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