赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>ダリア
__…(意気込んで厨房の奥へと向かう相手の背を一瞥した後に手頃な椅子へ腰掛けると、近くにあったメモ用紙とペンを拝借した。この世界へ来てから、否、花を携える青年と出会って、随分と振り回されているような気がする。しかし、不思議と嫌な感じがしないのは、この世界全てが夢物語のようだからだろうか。そんな事を考えながら、紅茶の支度をする相手の姿を簡単にデッサンして時間を潰し。幼い頃から青年期の半ばにかけて、様々な教育を受けてきた。絵画もその一つであったが、対象そのものを捉えることには長けているが中身が伴っていないと指摘されてから、途端に興味を失ってしまった。こうしてペンを持つこと自体久しかったが、白黒のそれが鮮やかに色付くような気がするのは、きっとこの世界に散らばる鮮やかな赤を目に取り込みすぎたせいだろう。ある程度描き上げると、くしゃりと紙を潰してそこに放置し、視界を覆う前髪を掻き上げてから頬杖をつくと、再びダリアの姿をぼんやりと眺めて)
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