赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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うぐっ、えぐっ、(悲鳴は嗚咽へ変わり、疲弊するほど涙を流しても一度決壊した涙腺は自分の力では留めることができなくて。どうしよう、と考えることさえできなくなっていたその時、聞こえた優しい声に顔を上げる。また幻聴だったらと思うと振り返るのも憚られたが、隣に立ったその声の主は、温かい手で背を叩いてくれた。派手な化粧に、きらびやかな装飾品の数々。そう書くとクラブで出会った他の女性達のようだが、それとは圧倒的に落ち着きや存在感が異なっている。再びかけられた声に、一旦は驚きで止まっていた涙が、今度は安堵で溢れ出す。「うあああああ!!よがっ、よがった、ひとりぼっちだと、思ってぇ」初対面だけれど、触れる手の柔らかさも、穏やかな声色も、相手が確かに自分の敵ではないことを示している。何も分からない土地で、味方だと思っていい人に出会えたことが嬉しくて、ぎゅうう、とめいっぱい抱きついて。「ぼ、ぼうしや、ね。私はオリヴィア」名前を反芻しながら体を離すと、腕だけは相手の腰へ巻きつけたまま同じように名前を述べ。「あ……ありがとっ。んん……帽子屋のハンカチが黒くなっちゃう」薔薇と同じ色をしたハンカチを視線で追いかけながら、相手の言葉と頬に当てられた布の柔らかさに肩を竦め。「ここはどこなの?私……泊まれる所を探してるんだけど」呼吸も落ち着き、少しは明瞭になった頭で辺りを再度見回して。帰り道を聞こうかと思ったが、どうせ家には帰らないのだ。僅かに言い淀んだあと、問いかけては首を傾げて相手の顔を見上げ)
(/本日の提供キャラ様以外からお相手をして頂き、ありがとうございます……!おしゃれさんの帽子屋さんに拾って頂けて、とても嬉しいです!返信ペースはお気になさらないでください。改めて、どうぞよろしくお願い致します!)
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