赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>公爵夫人
( オフホワイトのチェアーもまた夜の闇の中でひんやりと身体を冷やす。相手は己の見た目からどう思っているのかは知らないがこれでも結構呑める口なのだ、一杯、また一杯とやる内に冷えなど何処かへ行ってしまうだろう事がわかっていれば普通であれば守らなければならない規則を堂々と嫌うその発言に、そうして悪びれる事のない楽しげな笑みに「煙草を注意された家出も考えようかな」と頷き。透明なグラスに注がれる日本酒のなんと美しい事か。落とされた金粉は宛ら月の欠片のようだ。ひっそりとした夜に招かれた宴がこんなにも心躍るものだったなんて。一つのグラスを手に取り同じようにして掲げればそこで漸く知った相手の名前を胸中で復唱した後「お招き頂いて感激です、公爵夫人」わざとらしいお辞儀を。己の名前は──アリスで構わないだろう )
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