赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>ハンプティダンプティ
(姿は見えないものの、あちらこちらから小鳥の囀りが聞こえる森の小道を行く。今日は隣を歩く人はなく、2度目とはいえ勝手知ったるなんてものじゃないから道草しながらではあるが。日が翳っていようが気怖じする事もなく、鼻歌交じりに歩くこと数十分。森の奥、と教えてくれたその人の声が脳裏に蘇るもどこかおかしい。充分歩いたと思うが目的地らしきものは一向に姿を現さない。迷った、と嫌な予感がチラつくも、変な横道に逸れたわけではあるまいし、さてどうしたものか。このまま進むか、引き返すか。その場でぐるぐる悩んでみるも、頭の片隅にあるのは柔らかな女性の微笑。今日のミッションはお菓子のお土産を手に入れることである。こんな事で諦める訳にはいかないのだと、頬を紅潮させ頷けば、もうひと踏ん張りと再び歩みを進めて。なに、もし道を違えたとしても一本道なのだ、引き返せばお城には着くだろう。ふと目に付いた可愛らしい野花にぴこんと良案を思い付けば、「ごめんなさい」と謝ってからそれを根元から優しく千切って。お菓子屋さんなんてキュートな店を営んでいるくらいだし、可愛らしい手土産でも持って行ったら店主は喜んでくれるだろうと、そんな考えで。はたして見えてきたのは噂に聞くお菓子屋さんで。「こーんにーちはー。ビルちゃんのお友達のはんぷりーだんぷりーさんは居ませんかー?」後ろ手に野花を隠して、間延びした声が目当ての人を呼ぼうかな)
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