アリスは憂鬱な夢を視る　/　半無登録、指名制　/　NBL　/

＞人魚

( 己からすればお城まで辿り着けず投げ出そうとしていたただの迷子。もっと言えば迷子の“子供”にすら見えてしまう相手。その相手が先程から口にする“アリス”と言う名は勝手に付けられた愛称なのか、それとも有り得ないとは思うが女性の誰かと勘違いをしているのか。「最初に断っておくが俺は“アリス”じゃねェ。それは女モノの名だ」後々こんな予定じゃなかったとギャーギャー文句を言われるのも至極面倒だ。その面倒事を事前に無くす為一先ず名前の否定を口にするも刹那、すっかり慣れっこの動作で取られた手の甲に口付けをされれば幾ら美しい容姿とは言え男、ピクリとこめかみを微動させ「何してんだお前は」今までより幾分か低い声色で暗に静止を。＿と、そこで気が付いた事が一つ。果たして幻影に触れられるのか。未だ離されない手からは確かな温もりを感じる。まじまじと相手を見れば素直なまでの喜びの表情。それから続けられる真っ直ぐな言葉。もしかしたら己は大きな思い違いをしているのかもしれない。泡がなんちゃらだとか離れる離れないの問い掛けに答える事無く思考を巡らせていた矢先、繋がれた手が引かれる小さな反動で我に帰ればそこには挑発的な顔が。「＿＿餓鬼が生意気な事言ってンじゃねェ」ニヤリ、口角持ち上げ似たり寄ったりな笑みを浮かべては自由になる片手を持ち上げ目の前にある頭をわしゃわしゃと撫でくり回して )