赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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(一夜明けた早朝。何処か遠く、屋敷の外で鳥が囀る声が耳に届き、微睡みの中にあった意識が浮上。むくりと上体を起こして、寝癖のついた黒髪を手櫛で整えながら周囲を見渡す眠たげな蒼眼に映るのは、見慣れた襖や木目ではなく硝子張りの壁。傍らで眠る青年の姿に昨夜の出来事をぼんやりと思い返し、緩やかに弧を描いた唇の隙間から小さく零れた呼気「君が会いたいと願うなら、な」フードの隙間から零れた金糸を指先で掬いながら返す言葉は独り言。適当に身支度を整え、もう一人の青年とは鉢合わせぬよう、そっと、彼らの住居を後にする。薄暗い室内から一変、燦々と降り注ぐ柔らかい朝陽に眩し気に双眸を細めつつ、まだ静かな遊園地を横目に向かう場所はまだ見ぬ住人の屋敷。森の奥の洞窟の近くに住んでいるらしい彼の住処は、現在地を真っ直ぐに抜け、森に入って城を後ろに、さて、何時の方向だったか。おぼろげな記憶を頼りに、漸くそれらしい建造物を見付けた頃には東にあった太陽がすっかり天高く昇っていた。これなら大人しく眠っていた方が体力が回復したんじゃないかなんて。怪我の後に歩き回るとなると体力自慢での己であっても多少なりとも疲労感は拭えず「―――流石に、暑い」ちょっとだけ汗の滲んだ額を、片手の甲で拭いながら、玄関まで向かえば逆手で扉を叩き)…Ciao、誰かいるか?居ないなら勝手に上がらせてもらうが?
(/こちらもゆったりペースになるかと思いますので…!それでは本日もどうぞよろしくお願い致します!)
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