赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>メアリ
(核心、余りにも的確な核心だった。いつの日からか、自分の事は考えないようになっていた。国の為が、自分の為と、余りにも当然と思っていたからこそ真直ぐな疑問として向けられた彼女の言葉が確りと突き刺さる。ゆるゆると、ほんの少しだけ困ったように、ただ目を細めてふっと微笑む。「貴女はとても優しいアリス。その質問の答えはきっと、今は分からなくても――何れ解るわ」ゆっくりと、落ち着いた声色で。唐突のこの状況の中、彼女が自分自身の身を案じるのではなく何よりも先ず、この矛盾点を付いたと言う事は彼女の其処に有る優しさが理由なのだ。だからこそ、自分のことなんて気が付けば遠回しになっていたと言う事に気付かないほど、気づけないほど、深みに嵌ってしまうことだろうと。それが良いことなのか、悪いことなのかは分からない。自分と同じく、他の誰かを優先してしまうのが見えてしまう。「ねぇ、――女王としてでは無くて、私としての"お願い"をしても良いかしら。」ほんの少しだけ首を傾ければパッチリと開く彼女の瞳を見つめ直すように目を向けて、「たまにで良いの。こうやってお話を聞かせて欲しいわ、――昔はね、国の色んな所へ行くのが好きだったの。今は出来ないけど、私の代わりに色んな所へ行って、色んな出来事を体験して、その話を私に聞かせて欲しいの」自らの手首に回るローズクォーツがあしらわれたブレスレット、其れを彼女へと差し出すと「出かけ先で貴女が困らないように、――公爵夫人がおまじないをしてくれたブレスレットなの。貴女のことをきっと守ってくれるわ」お礼と言うには細やかすぎる。それでも願わずにはいられないのは甘えか我儘で。)
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