赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>レオナルド
(当の菓子は正に彼の広い主から以前頂いた物、生クリームやチョコレートとは違う素朴な甘さはこれまで食べた物とは違う印象を与えて驚いた。品ある甘さは今急須の中で蒸らされている緑茶の苦味がよく合うのだ。部屋に入れば自身も滅多に入らないこの一室の、何故だか懐かしい気持ちに至る空気を一先ず吸い込み肺に落とし。零さないように気を配りながらとんとトレイを置くと「美味しそうだろ、東洋の菓子で、以前お前の所の公爵夫人に紹介して貰ったんだ」ととと、と音を立てるようにメイドに教えられたそのままにお茶を注ぐ。優等生の呼び名に恥じないのは急須の角度やら高さやらまでもが教えられたそのままの少し違和感を覚えるほどのぎこちなさが表していて。「甘くて、苦いお茶が合う。甘いケーキに珈琲が会うのと同じかな」湯呑みを彼の前へ、そして練り切りの乗った皿も隣に並べれば「自分で用意したのは初めてなんだ、若しかすると苦すぎるかも。もしそうだったら遠慮しないで残して良いよ」慣れた紅茶ではない、初めて淹れるその種類を提供するのに抱く緊張感からか心臓は早く動き。彼と接する内に、彼が気遣い上手だと言うことを十二分に知っている。だからこそと言葉を向ければ「誰かと一緒の早起きも良いな、こうして静かに時間を使えるんだ」彼に対して恐れ緊張していたのが懐かしくなるほどの楽しさや親しみを今じゃすっかり抱いている。すっかり居心地のいいこの時間に自然と表情が綻びながら湯呑みを口に運んで)
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