赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>>悪魔
俺が目立って非難されたって、隣にいるアンタが煽りを食うだけじゃないか。
( からかっているのか、他人の困惑した様子が彼にとって愉快で可笑しいものなのか分からないが終始吊り上がったままの口角を見て思惑通り簡単に降参の意を示しては負けな気がして。意地悪な一言に屁理屈で返すも貸しが出来るのは仕方ないと諦める。彼の言う"帽子屋"とやらに会えば全ては解決するのだから、せめてその時までこの不可思議な夢が覚めなければ後少しは楽しめるだろう、と己の心中では無意識に興味が不安を勝り始めた。傍を退く気の無さそうだった悪魔にどう対処しようかと思い悩むところ何者による軽快なノック音が救いの手を差し伸べ、彼が背を向けそれに出向いたのを確認すればすぐさま眼を光らせて衣類に手にかけ。バサバサと次々に小汚い縞模様の服を脱ぎ捨てれば、ベッドより拾い上げたスーツからふわりと漂った良い香りに一瞬着用を躊躇うも、今の隙にと時間が後押しし慣れない不器用な所作でボタンを留めてチャックを閉める。畏まった正装になど触れた事すらなかった為、自分でも拭い切れない違和感には目を瞑る他なく、それでも小さな憧れだった"お洒落"とやらに一歩近付いた自分を見てやろうと全身の映る鏡をきょろきょろ探し。そうこうするうち相も変わらず朗らかな笑みを浮かべたままの彼が踵を返し扉を閉めた。客は当然見覚えない者だったが、聞こうとせずとも耳に入って来た会話の内容が自分を指していた事は先程出会ったばかりの悪魔が己に与えた"アリス"の通称で明らかだった。また扉越しに訪れた客が"アリス"を気遣っていた事にも何となく察しがついた。「……知ってる?虐めだって自覚してないのが一番の虐めなんだぞ」着替えたばかりの姿を見せるのに少々恥じらいを覚え、まだ自分も見ていないのだからとクローゼットの隅に身体を隠し顔だけ出してそう答え)
服、一応着替えてはみたんだけど。アンタに見せる前に先に言っておく。……似合ってなくても笑うなよ。
(/ありがとうございます!今日も同時刻頃に闇落ちしてしまう可能性があります故短い時間ではありますが宜しくお願い致します。/蹴り推奨 )
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