赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>公爵夫人
(少年時代に無数に開けたピアスホールは、彼が選んだ和風モチーフのピアスが飾られる予定の左のイヤーロブを残して全て塞がっている。ジャケットのポケットに無造作に仕舞った装飾品に関しては軟骨辺りにでもまたホールを開けて着けようか。なんてことを考えながら顔を上げると何時にも増して真剣な面持ちが瞳に映り、ぱちりと瞠目。こんなに真面目な顔をした彼を見るのは久しぶりか何なら初めてかもしれない。己を飾り立てる為に此方に真っ直ぐに向けられた紫と翡翠の虹彩を捉えた蒼眼に滲み出る愉悦と優越感。あまり動くと叱責されるかもしれないから口は閉ざしたまま。今この瞬間だけは自分のことだけを考えているであろう端正な男性の顔を見つめる内に無事に定位置に贈り物が収まり。指先で輪郭を確かめるようになぞっては「Grazie、大切にするな」だらしなく緩む頬は抑えきれそうにもない。賞賛の言葉と共に伸ばされた掌で犬や猫の毛並みを撫でるように黒髪をぐしゃぐしゃと掻き乱され、彼が満足して手を離す頃には、パーティ用にめかし込んだ髪型もすっかり元通り。額にかかる前髪を緩く掻き上げながら彼の言葉に浅く頷いて口許の笑みを深め「オレも。すっごく楽しいし、幸せだぜ」そして彼の身体を抱き寄せるようにスーツを纏った腕を引いて、彼の身体諸共寝台の上に倒れ込めば、甘えるように頭を擦り寄せ)ふ、返すって言ったけど、気が変わった。もう夜も遅いし今夜はオレの部屋で一緒に寝よう?
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