赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>公爵夫人
ああ、開けてみてくれ。(依然として床に屈んだまま、寝台に腰掛ける彼の姿を見上げる形で浅く頷き。相手の手の内に渡った何の飾り気もない小箱の中に収まるのは、とある住民から買い取ったばかりのスイートオールドのコーム。シルバーの櫛にあしらわれた今にも香り立ちそうな白薔薇のコサージュは華美でなくとも優雅で、持ち主の魅力を存分に引き出してくれるであろう「パーティの服を選びに行った時にたまたま見つけたんだ。きっと、あなたに似合うと思って」ドレッサーに並んだアクセサリーの類を何気なく眺めた時に目に付いたのがこの髪飾りだったのだ。和服にも洋服にも馴染みそうで、なおかつ、女性的過ぎることも無い。まるで彼の為に誂えたような品だと。そうしてメイドに品物だけキープを願い出て、順序を踏んで名実共に自分のものにした装飾品。もしも気に入って貰えたのならパーティや祝い事の席で、身を飾り立てる際には是非使って欲しいと言葉を添えて、蒼眼を細めると小さく笑って)……Grazie sempre、公爵さん。
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