赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>公爵夫人
(和服ではない衣装に身を包んだ相手は目新しく新鮮に映る、そんな見慣れないスーツ姿の彼の望むままに体に触れさせながら「ご紹介に預かったアリスだ。知った人も、これから知る人も、今後ともよろしく頼む」室内で屯す他の飲兵衛―知った顔もチラホラ居るようだが、ほとんどは初対面の住民―たちに口角を吊り上げて不敵に笑み。酔いどればかりなのだから馬鹿正直な自己紹介は必要ないだろう。しばらくは彼のやりたいように身を任せていたが、徐に身を屈めると少しばかり身長差の開いた首元に顔を擦り寄せ。すんすんと数回ばかり匂いを嗅げば「酒臭い」つっけんどんな言葉とは裏腹に声音は何所までも柔らかく、相手を見下ろす蒼眼に滲む感情も親兄弟に向けるそれと遜色ない。そうして、顔を寄せたまま、悪戯を思いついた子供の様ににんまりと唇に弧を描かせれば、室内の住民たちに声をかけ「ちょっとだけ公爵さんを借りてくぞ、また後で返しに来るけど」言い終わるが早いか、ごく自然な動作で彼の両腕を己の首筋に回す様に誘導。酒に酔った体なら容易い事。そうして準備を整えれば、自分より華奢な体の腰と膝裏に両の手を回して支えとして、横抱きに抱えあげ、くすくすと楽し気に笑いながらオッドアイを覗き込んで)実はオレもあなたに用があったんだ。だからちょうど良かった。
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