赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
通報 |
>蜥蜴のビル
(もう、いいでしょう。そう言って部屋を飛び出したのが数分前、着飾らせたいメイドさんと長いことじっとしていられる性分でない幼子気質の格闘は己の逃走で幕引きとなったばかりで。とはいえそこは彼女達もプロ、幾ら中途半端とはいえその出来栄えは逃走中のお転婆さえも窓ガラスに写った自分を見て思わず足を止める程。アップにされた桃色の髪には花が飾られ、吊り目がちな目を隠すでもなく活かしたメイクは凶相を年頃の女性に仕立て上げており、極めつけの白とピンクの膝上丈バルーンドレスが普段垣間見えない女の子らしさというものを生んでいるかのようで。うわぁ、と目を見張りぺたぺたと己の顔を撫で回せば何とも現金なものですっかりメイクというものを見直しては鬼気迫る逃走の雰囲気は消え去り、ご機嫌な様子でクリスマスカラーの城内を行ったり来たり。折角なのだから見せびらかそうと思っての事であったが広い広い城内のこと、案外見知った顔には出くわさないもので、結局何時ものように好奇心に任せた城内探検へと切り替わり。ハロウィン然り、イベントごとは何故だか心が高揚すると弾む足取りで廊下を行けば漸く見知った後ろ姿を見つけては勢いよく駆け出し「ビルちゃーん!ひさしぶり!」服装などすっかり忘れ、ドンッとその背中に抱き着いては挨拶といこうかな。)
トピック検索 |