赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>蜥蜴のビル
!(向かう場所に察しが付けば、不思議そうに浮かべた表情を一変させ「仕方ないなあ」だなんて、わざとらしい声を上げて見せても、緩んだ目尻と口許を見れば本心は火を見るよりも明らかである。散歩を前にした飼い犬が尾を揺らすように、待ちきれないとばかりに、彼を追い抜いて先に廊下へ。今もなお、壁を隔てた向こう側の庭園には白い雪が降り積もっているのだろう。室内からは窺い知ることの叶わない光景を目蓋の裏にうっすらと描けば逸る心が抑えきれず。案内人より先を歩いても意味がないと思い至れば、数歩ばかり先に進んでから背後を振り返り、彼の到着を待ちながらタイミングを逃してすっかり遅くなってしまった自己紹介を、満面の笑みと共に)オレはレオナルド。改めてよろしく、庭師さん。
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