赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
通報 |
>公爵夫人
(手招きを受けた先で見たもの、それは久しぶりに見る大好きな人の何だか意外な、そして可愛らしいシーンであった。よく見ろと言われずともじぃっと集中して見詰めているのは、盗み見がバレた時にそこで彼が餌付けを止めてしまうのではないかという危惧からで、出来るなら長い事見ていたいと息を詰めて。隣の御仁程ではないものの、ついくふふと笑い声が漏れるのを抑えきれず両手で口に封をしながら、こくこくと数度首肯し"良いもの"という言葉に同意を示そう。その時である、いつの間に起きたのだろうか、今だけはその悪戯好きを収めていて欲しかったところだが、突然驚かす様に薔薇がざわりと頬を撫でたのである。声は漏れていないだろうか、音は立てていないだろうか。咄嗟の事に頭は働かず、取り敢えず側の相手の裾を掴んではその場に一緒にしゃがみこもう。)
トピック検索 |