xxx 2018-06-03 19:25:29 |
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>8 夏目 央
あたくしを選んでくれるなんて嬉しいわ。
あなたとちゃんとお話出来るのは初めてね。ふふ、ヴィペールにする良い自慢話が出来てよ。
折角だから、お茶でもどうかしら。お部屋までお迎えに行くわ。
女同士、楽しいお話をしましょう?
(とある日の昼下がり。季節を問わずひんやりとした空気の漂う館の廊下に、小気味良い靴音が響いてゆく。カツ、カツ、カツ――優雅で、規則正しく、軽やか。そんな魔女の足音が止まったのは、他でも無い死にたがりの部屋の前だった。あくまで通りすがり。この部屋の主を探しにやって来た訳ではなかったが、もし部屋に居たら――と思っていたのも事実。細く白い指の背で、飾り気の無いシンプルな木製の扉を3度ノックして)
――御機嫌よう。良かったらお茶でも如何?
(宛ら鴉の様な黒尽くめの装いとは些か似つかわしくない、明るさのある声でそっと呼び掛けた。彼女がこの館へ招かれた日から暫く経つが、実はまだ確りと顔を合わせた事はない。何分、珍しくあの高飛車な大蛇が懐かれているものだから、彼の戸惑う様子を見るのが面白くてついつい出しゃばらずに引っ込んでいたのである。自分至上主義の彼が久方振りに"思いやり"の欠片を落とした彼女には、大いに興味がある。上手く誘い出せたならのんびりお茶でも飲みながらあれこれと話を…そんな下心をそっと胸にしまいこんだまま、静かに返事を待って)
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