悪魔 2018-05-21 14:45:41 |
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…その薔薇が有る限りどんなに離れていようと貴方の、居場所程度なら瞬時に分かるんです。だから、決して其れを手放さないように…。貴方を失いたくはありませんから。
(相手の胸元から取り出された薔薇はその黒い花弁を1枚も欠けることなくただ凛と存在を主張している。ザックはこの薔薇を決してその辺に置こうとせず専用のポケットを作ってくれてまでもっていてくれている、そんな些細な事だが自身にとってはたまらなく嬉しい。きゅっと心が締め付けられる、そんな彼に危険が及んだらどうしよう…余計にさっきの不穏な気配が気になってしまいその焦りを取り除く様にブンブンと首を降った。街までの距離はそう遠くなくザックが道を歩けば沢山の人が挨拶をしていく。1人1人に優しく声を掛ける彼はまさに神父の鏡だ、そんな彼の後ろを猫の姿でついて行けば、再び感じた嫌な気配。その気配の感じる方向へ視線を向けるもあちら側は気づいているのだろうか探ろうとするとすぐさま気配を消してしまい、なんとももどかしい。なんなら正々堂々と目の前に現れてくれたらどんなに楽な事か…存在を掴ませないのはきっと自分らの存在に警戒しているに違いない。得体の知れぬ視線を感じながらもザックに続き街の様子を見て回る。人で溢れるこの街の雰囲気はとても明るい、そんな風景を横目に歩みを進めれば、ふいに感じた浮遊感。ん?地面との距離がゆっくりと離れていく。気づけば数人の子供に囲まれ案の定捕まってしまっていた。さぁぁ、と血の気が引いていく額に青筋を浮かべながらもガシガシと乱暴に撫でられる頭。ザックに撫でられる時とは全く違い心地良さをこれっぽっちも感じない。それにキラキラと輝く子供たちの目は、猫の姿でだともはや狂気でしかない。抜け出そうと試みるもしっかりと身体がホールドされているため身動きが取れない状態で、無理に抜け出そうとすれば怪我をさせる可能性もある…仕方がない、ただ無力な猫を演じよう。子供の玩具と化した自身はとても格好が悪く感じ、ザックに助けを求めるべくにゃぁと悲痛の鳴き声をあげて。)
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