坊っちゃま 2018-05-12 23:43:08 |
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ダメなんてことありません、あるわけがありません。
(少し話すだけでも咳き込むその様子にこのまま自分の手の届かない場所に、人ならざる自分であっても決して行くことのできない場所へと主を連れ去られてしまうような気がしてしまえば、そんなことをさせてなるものかと自らの手元から消え去ってしまわぬようにぎゅうっと伸ばされた震える手を両手で包み込むように握り締める。主人の願いを自分が拒むなんてことあるわけがないと潤んだ瞳を細めながら告げる、こんなにも苦しんでいるかけ換えのない自分のたった一人の愛する人になにもできない歯痒さにぐっと下唇を噛んでは犬歯が刺さり口内に苦い血の味が広がる。でも、ダメだ、自分が何時までもこんな風に心配そうに見つめていては優しい主人は気を遣ってしまう。そんなのはダメだ、自分は主人が甘えられる、弱音を吐ける、そんな存在でありたいのだからと一度唇をきゅっと結んではそっと緩めいつも通りの優しい視線からも相手への愛しさが溢れ出しているような、そんな視線を向けてはそっと瞼へと口付けを落として)
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