坊っちゃま 2018-05-12 23:43:08 |
通報 |
ギル…ベルト坊っちゃま……、御自身が何を仰られているのかお分かりですか…?
私は…メイド……いいえ、吸血鬼です。今はまだ分からないかも知れません、けれど私は歳をとらない、坊っちゃまと同じように老いていくことは出来ないのです。
使用人ならば諦めもつくことでしょう…けれど…恋となっては話が違います。きっと坊っちゃまはいずれ傷つき後悔します、ですからお戯れは此処までと致してくださいませ。
(二人しかいない場所、二人だけの空間に甘く響く声は心より愛している主のもの。告げられる一つ一つは何よりも甘美で自身の心を熱くさせていく、本当に最初は存命の為だった。このまま死ぬのだろと覚悟をしていた自分の前に現れたのは何処か人間離れした容姿の女の子と見間違うほどの儚げな男の子。まだあどけなく無垢で純粋で、騙すことが容易く思えてしまうほどの真っ直ぐな眼差しに次第に自分は絆され、そしてかけがえの無い存在へと変わった。きっとこの人が居ない世界ではもう自分は生きてはいけないと思うほどに……出会ってからの数ヶ月は温かく甘く吸血鬼として忌み嫌われてきた自身の凍りついた心を溶かした。だから同時に誓ったのだ、これ以上決して望んではいけないと主が求めるものが家族へのそれならば誰より甘くそして幸福になれるよう、自分の人生よりも遥か短い命が尽きるまで共にいると、そして最期の時は自分も共にと……。吸血鬼である自分が捕食対象である人間に恋をするなど滑稽でしかないのだ、だから決して踏み込んではいけないと誓っていたのに。耳を刺激する愛しい人の言葉に自分は今高揚している、本当にそんな夢みたいな未来を望んでも良いのかと。けれど種族の違いに自分はまた逃げ腰になってしまう、他者との関わりを断絶に二人だけの世界を作った自分が言えることではないのは百も承知している、だがどうしても自分と生きることは様々な辛い想いを主にさせてしまうのだと、今ならまだ冗談に笑い話に出来ると悲しげに微笑んではまるで母が子供にするようにと頭を撫でて)
トピック検索 |