坊っちゃま 2018-05-12 23:43:08 |
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ん..、うん...大丈夫だよ。君にされる事なら、何だって辛くはないさ。
( 僕の熱なのか、彼女の熱なのか。どっちとも判断しきれない体温の上昇に熱のこもった息が漏れる。自身を抱えてはいるものの、掴まる彼女の腕はやはりどう感じてもただの女性の腕だ。吸血鬼とは思えない。やっぱり彼女は人間なのではないかと錯覚させられる。抱えられたまま歩く彼女の姿は美しいが、はたから見ては使用人にお姫様抱っこされて、運ばれる主人の姿はさぞ笑い者に相応しい姿だ。この屋敷に住まうのが自身と彼女だけで良かった。もしお祖母様や父上と母上に見られていたら恥ずかしさで死にたくなってしまう。自室の扉を開けて中へと入ればゆっくりと椅子の上へと下される。身を縮こまらせて大人しく座れば灯される薄明かりに何だか此れから良くない事をしてしまうような、変な気分に襲われる。シーツを変えた彼女がこちらに再び近寄り抱きしめてくる。それを愛しそうに抱きしめ返すと触れそうな唇から発せられる甘い声に小さく頷きながら身を寄せてはにこ、と微笑みながらそう告げた。)
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