匿名さん 2018-05-08 21:00:30 |
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「誰かいますか?」
そう言って辺りを見回すが、今のところ誰もいない。しかし、空間には確実に誰かがいたであろうと思わせるような空気が漂っていた。おそらく、昔は賑やかだったのだろう。そして、彼はそれを理解していた。彼もまた、同じ空間にいたからだ。
「ええ、楽しかったですよ」
そう独り言ちる。過ぎ去った日々を懐かしむように。
彼/彼女は姿を変えながら、時に喧騒に加わり、時に世界を見守っていた。
しかし時の流れに押しつぶされ、いつしか世界を手放した。
それでも
「再び、この世界に光が溢れんことを」
祈りは光になり、人型を包む。
やがて光が収った後には、一枚の羽だけが落ちていた。
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