【3L】 炭酸水 に 溶ける夢 o｡O [ｱｲｽﾊﾞｰｽ/特殊設定注意/ｽﾄｰﾘｰ重視/ﾛｽﾄ有り/背後相性重視]

>57 芦屋 園


そのお菓子に合うと良いんですが…。
(相手の様子は少し不思議であったが、取り繕うかのように向けられた笑顔は今まで通りで、具合が悪いようには見えなかった。内心、ほっとしていると、トレーのお茶を褒められ、控えめな笑みを浮かべて返答する。その後、テーブルの上に相手の分のお茶を置き、自分のはどこに置くべきかと一瞬、逡巡すれば、丁度そのタイミングで相手に隣を勧められたので穏やかな声音で「じゃあ、遠慮なく」と答え、お茶を置くのと同時に自分も席につき。

目に入った手土産のお菓子は、丁寧に素朴な和風の皿に乗せられている。彼にだけ食べて貰えばそれで良かったのだが、これは明らかに自分も食べて良いということなのだろう。相手の心遣いが嬉しくて、クスと笑みを零しては、暖かな気持ちのままお茶に口をつけ。

そこで不意に、ソファーの横に立て掛けてあったらしい絵画を相手が差し出してくれば、お茶を一度テーブルに置き、そっと慎重に両手で受け取り、裏返しにされていた表面をチラリと見て。……すぐに相手が先程まで相手の側でそうしていたように、まじまじと見ることはせず、自分の隣に置き直し。

内心、垣間見たプロの画力に、頬に朱が射すような気分の高揚を感じる。少し見ただけですごく綺麗だった。美しく、透き通るような色彩なのに、確かにその中に温度を閉じ込めた絵……これだけのものを、しかし、相手はまるで大したものではないかのように、緊張も傲慢さも感じられない、ただ爽やかで素直そうな笑顔で渡してきた。いやいや、これはそうやってホイと手渡すようなものではないんじゃないのか？ 一瞬の間に様々なことを考えれば、即座に相手に向き直り、だけれど、ちょっと、目のやり場に困っているかのように視線は逸らして「芦屋さん、この絵はお茶請けに見るようなものではないでしょう……」と言い。そこで再び絵画を手に取り、改めて両手で持ってじっと見ると、しばらく黙ってから、相手に視線を戻し、次は笑顔で)

素晴らしいです。本当に僕の好みの絵だ…。是非もっとちゃんとお礼をさせてくださいね！