ななしのこえ 2018-03-08 21:07:28 |
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>9 老整備班長 様
(白い波が絶えず打ち寄せる海岸、夏の青い草木、その奥にはまっすぐに伸びる滑走路。故国への帰投はいつだって心穏やかなものだったが、その日ばかりは違った。敵機の執拗な追撃からどうにか逃れはしたものの、被弾したボロボロの機体は当然基地までもたず、突如左翼の燃料タンクから火が噴出し、やがて右翼のタンクにも引火する鈍い音が続いた。炎はすぐにコックピットの内部にまで押し寄せ、肌を、肉を激しく突き刺すような鋭い熱が足元から迫り、それでも右手は操縦桿を握ったまま、脚で方向舵を操作して機体を運ぶ。次第に視界が狭まるなか、目を窄めて滑走路を見据えると、その傍らに何台もの消防車が集められているのが見え、スロットルを引きながらどこか安堵したような心地になっていた。機体は地面と接触する際に一度跳ね、再び大きな音を立てて着地し、その衝撃でキャノピーが吹き飛ぶとシートベルトを外して操縦席から転げ出て、残された力で機体から距離をとる。ふらつく足取りで芝生の上を進んでいると、不意に肩を叩かれ、聞き慣れたいつもの温かい激励で迎えられれば、焼け爛れてひどく痛むはずの頬が緩み。なお轟音を立てて燃え続ける、恐らくは修復不可能であろう愛機を軽く振り返りつつ、照れ隠しに彼へ無理難題をつきつけて)
坊やって歳でもねぇんだけどな。…ただいま。 ああ、よろしく頼むよ。最新型の機なのにまたダメにしたって知られちゃ今度こそ大佐に殺されちまう。なんとか乗れるようにしてやってくれ。
(/思わずパパ!と呼んでしまいそうな渋カッコイイ老整備班長様に惹かれ、パイロットでレスを付けさせていただきました。お気に召さなければ申し訳ございません…!)
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