ナレーター 2018-02-17 14:36:55 |
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>お嬢ちゃん
( 本日も娘を連れ去る為に威武堂々たる面持ちで気品あふれる豪奢な屋敷の前へとふらりと立ち寄り。彼女を永久に連れ去れば晴れてエンドロールに名を残す事が出来る、安易な役柄にてこんなにも嬉しい事が他にはあるだろうか、皮肉にも彼女とその執事とは友人までの関係に発展し二人への同情から強引な手口は代償を背負う故に控えてはいるものの加熱する駆け引きはその傲慢たる物欲を日々滾らせ飢えを与えるばかり、ゴシック調の門を目の前にして常に胸に焼き付く焦燥感を感じる。今日はやめておこうか、そう脳裏を過る直後重々しい音と共にコンクリートを叩く甲高いヒールの音にピタリと思考が止まり。何やら規則正しい早々とした足音が急接近して来る、そそくさと近くの叢へと身を潜める事数秒、門の前に姿を現したのは深緋のワンピースが良く似合う琥珀色の瞳を持つ娘。痛々しい程に白色の肌が光に照らされ今にも折れてしまいそうな華奢な身体が屋敷の中では無く外見る事が出来た、そして此方へと向かってくる事に目を疑わざるおえない。獲物が今、目の前に来る、手に入る、その感覚にどっと冷や汗が溢れやがてじわじわと昂奮が湧き上がり、微かに震える腕で耳朶からぶら下がる催眠薬をそっと握り。「_______…お嬢ちゃん、一人で何処に行くんだよ。俺は万々歳だが、召使い君は死にもの狂いで探してるだろうな、彼奴結構束縛気味だし。」彼の事を案じる積りは無いが喉から吐き出されたのは彼女の脱走を惑わす様な言葉、思わずはっと唇を閉ざすが彼の存在もまた然り友人とは恐ろしいもので。ピアスを握る腕を下ろし、屋敷を一瞥しては彼が慌てふためく姿が脳裏に浮かび上がり眉と肩を下げて。視線を相手へ向き直せば目線の高さを合わせるためやや腰を屈め )で?何処行くって?
(/主様!早速ですが絡ませて頂きますね、宜しくお願い致します!)
>子猫ちゃん
へえ、堅物ワンコは金槌頭に錆を塗りたくった苦男のくせに子猫ちゃんは甘々だこと!
( これぞ九死に一生を得たと言っても過言では無い、揶揄い目的で現れた筈が気付けば食事に有り付けるなど好都合、正に気分は有頂天。高鳴る鼓動と共に腹の虫も讃歌を熱唱し全身全霊を持って歓びを周囲に放ち、こんな時でさえも探偵への貶めは忘れずにしっかりと一言添え。随分と長く決断に至るまで相手は苦戦苦闘した様だが己にとっては互いの立ち位置など虫けら以下程興味も気にも止めていないどころか、己が怪盗であるという事も包み隠さず周囲に公表しているので通常ならば気にしなければならない周囲の目も全く相手にし無い。ましてや探偵コンビに行動を抑制される事も警察や監視らに捕まる事も回避出来ると底知れぬ自信を持っている。それ故に相手が何者であろうとも非常に馴れ馴れしいのだ。不意に間髪入れずに眼前に屈む相手の手首を半ば強引に鷲掴むと開いた掌の上へ懐から何やらくしゃくしゃに丸められた紙幣を一枚握らせ、直ぐに返却されぬ様手を離し。「これはこっちの世界のもんじゃ無いけれど子猫ちゃん絶対見覚えあるだろ?あげる。」この街、この世界では使われていない古びた紙幣は既に色褪せ文字が霞み所々切れてはいるが紛れも無い日本の紙幣。かつて此の物語に降り立った全ての者が生きていたであろう世界の代物はいつ手にいれたのかも己自身忘れてしまった。盗みを働いた気もするし、元から所持していた気もするが真相は闇のまま。執着も特に無いがノスタルジックに負けていたのか何と無く手放せなくなっていたもので、そろそろ頃合いと己の思いを断ち切る為にもパンとの交換条件にほぼ強制的に提示し。「_______ 待ってるよ。」変わらず意気揚々とした様子で道端に座り込んだ状態のままマスク越しに目尻下げて、ゆらゆら力の無い片手を振り)
(/ 日中に堂々と徘徊するような男ですので名も知れ渡っております、きっと…!どうぞ『セスさん』とお呼び下さいませ…!唯一マスクの下や手口は見せない様にしておりますので、それらを踏まえて探偵様と助手ちゃんとのやり取りを楽しみにしております!)
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