γ 2017-12-07 08:10:36 |
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不器用なおっさん.
_ ..手伝ってくれて有難う。
( 会社の外回り中、大事な資料を小脇に抱えて今にも色がに変わってしまいそうなピカピカと点滅をした信号を横目に、良く前も見ずに走っていると渡った先の十字路で ─ ドンッ 。と、鈍い音と何かがぶつかる衝撃を体に受け、その瞬間に目の前がぐらりと揺れ。小脇に抱えていた資料も自分も宙を舞う感覚に嗚呼、大事な資料が。なんて声が出る間もなくヒラヒラと浮かぶ紙達に片手を伸ばし、掴めそうで掴めないまま固いアスファルトへ尻餅を搗いて。イテテ..と言う様に格好悪い姿で腰を抑え、先ずは汚れてしまったスーツの汚れを取らないといけないと思い、徐に立ち上がって汚れた箇所を叩いていれば突如見知らぬ優しい少女が散らばってしまった資料を丁寧に拾い上げてくれている。見た感じではとても幼く、でも子供にしては落ち着いた様子の少女に目を奪われてしまって中々動き出せないでいて。暫くしてからやっとの思いで動けた自分は残り数枚だと言う所で、黙々と拾う少女から目を逸らしながら資料に手を伸ばす。すると、自分の手の上にそっと少女の手が重なり、少女漫画でもあるまいのに何故だかドキッと一瞬だけ心臓が跳ね、少し申し訳なさそうな表情を見せて手を引っ込める少女の姿に上記を一言述べて。それでも何も発しない相手、此方としてもどう反応して良いものなのかと挙動不審になりつつ、助けてくれた御礼がしたいと言う名目で「 君の名前を教えてくれないか? 」と、身振り手振りして聴いてみるがやはり返事はない。初対面に名前を聞かれたくなかったのか、まぁこんなおっさんに誰も聞いて欲しいとは思わないよな、そう落ち込んで居ると何やらメモ帳とペンを取り出して何かを書き始めた少女。資料を茶封筒へと終いながらその様子を見守っていれば、書き終わったメモ帳を此方に見せてくれたので読んで。なになに、" 私は声が出せません "だって?声が出せないのになんで自分は質問してしまったのだろう、後悔と罪悪感に苛まれるも謝ろうとまた両手を動かし手話の真似事をし。どうにか伝わってくれと願いながら有難うを伝えれば " 耳は聴こえてます " と、何とも恥ずかしい答えが返って来て。道の真ん中、しかも人通りが多い十字路でよりにもよって失態を重ねるなんてと、肩を下ろし深い溜息を漏らすと再びペンを走らせる少女が " 誰にだって失敗は有ります、大丈夫ですよ " フォローしてくれて少しだけ心が軽くなり、予定が詰まっていない自分のスケジュール帳を懐から出して「 有難う、助かった 」そう記入し見せ。この後も、周りの目を気にする事もなく屡々筆談を交わして )
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