xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>269 北条敦志
あはははは!説明?欲しいなら遅れずに着いて来い!僕らノロマは嫌いだぞ!(楽し気な笑い声、挑発的な言葉、よく通る幼子の声が廊下の暗がりへ向かって木霊する。案内するなどとはそれこそ建前に過ぎず、結局はこの館へ招かれた新たな死にたがりを玩具にしたいだけなのだ。後方から己を追い掛けて来る足音を聞いて尚、立ち止まる気配は無い。序に言えば、先を行く背に向かって発せられたのが少々乱暴なものであろうと気にもしていないらしい。心も身体も永遠の子供、宛らピーターパンの様な存在でありながらこの双子はそんな夢のある存在ではない。無邪気である事に変わりはないが、その裏には確かな狡猾さをもっているのだ。今の彼は、突如として見知らぬ場所へ放り込まれ、何もかも分からない事だらけの脆弱な存在――ともすれば、彼はどうしたってこの館の住人である己を頼らざるを得ない。"こいつは僕ら無しじゃ途方に暮れる"、そんな子供らしからぬ打算によって好き勝手な真似をしているのであった。階段を上り切り、いつの間にか開いていた扉を潜ってその先の薄暗い廊下を少し進んだ頃。漸く彼の息遣いが近くに感じられる程度に距離が縮まった所でぐるりと背後を振り返り、徐に彼の傍にあった扉をつい、と指差したかと思えば「おっとっと、通り過ぎる所だった。そこ、その部屋だよホージョー。そこはお前の部屋だ!」と、先程の彼の叫び声を聞いていたのか聞いていないのか曖昧な呼称を添えて告げる。指差したのは何の特徴も無い、ただの扉。ネームプレートが掛けられている訳でも、傍に何か目印になりそうな物が置いてある訳でも無い。「ちゃぁんと覚えろよ、ホージョー!部屋の場所忘れても、僕らはもう教えてやんないぞ。」と、けらけら笑いながらでもそんな風に忠告して見せるのは、多くの死にたがりが自室の場所を覚える事に苦戦してきたからだろう)
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