廉 2017-09-25 02:11:19 |
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>>40 零也君
( 口に含んだ瞬間、口内に広がる餡子の程良い甘さに張っていた肩を落とす。無意識に緊張でもしていたのだろうか、幾許か身体が重怠い。もぞり、と肩を揺らしつつ鼻に抜ける黒蜜の香りにうっとりと目を細め、更にもう一口。家柄が家柄故に自分の舌は肥えている方だと思うが、素朴で優しい味。それでも安物は使っていないのだろう、上品な味わいに人気の理由を垣間見て。
男性の低過ぎない、柔らかさを含んだ声が耳朶を打ち、ぴくりと指先が僅かに跳ねる。別に、突然掛けられた声に驚いた訳では無い。続けて視界に入る、白い髪に赤褐色の優しげな瞳は───
「 ッ零也、君...。 」
口に咥えていた木の匙がぽろりと落ち、木のテーブルに当たって軽い音を立てる。彼、黒子零也は弟の同級生であり、自分も何度か会話を交わしている人物。身体が弱いこともありバスケットボールが出来ないのだと語っては、自分と共に練習試合を見学した事もある。続いてじわり、と滲む視界にもう一度小さな声で相手の名を呼び。
元々気が強い方で職業も含めれば泣く事はまず無い。彼氏に振られた時も涙一つ流す事は無かった。然し、見知らぬ世界で気丈に振舞っていた分の反動が。涙を零す事は無いものの、ぼやけた視界に眉を寄せる。ぎゅっと強く両の手を握り締め、俯きがちに三度目となる名前を口にして。
「 ごめんなさいね、年を取ると涙腺が緩くなってしまって。 」
気丈に取り繕い無理矢理口角を上げ、冗談を紡ぎ。 )
>>41 実廉ちゃん
( ちまちまと匙で口に運び、半分程食べ終えた所に掛けられた声。ゆったりとした動作で顔を上げ、まず視界に入ったのは澄んだ青色。それが人の瞳だと気付いたのは一拍置いてからで。焦げ茶色の様なショートヘアに特徴的な髪型をした人物は、現代で言えば未成年者辺りの年齢だろう。白い肌に丸々とした青い瞳が映える少女。否、女性。問い掛けられた内容を思い出しては二つ返事で頷き乍も何処か上の空で。
余談だが、綺麗なものや可愛らしいものは割と好きで。幼い頃は綺麗なものを集めたりと女の子らしい事もしていた。今でこそ殺風景なワンルームマンションに住んでいたが、実家の自室にはまだ思い出が眠っている。つい綺麗だと見詰めてしまった事に対する罪悪感を感じつつも、
「 え、えぇ...此処で良ければ座って? 」
と紡ぎ。我に返り辺りを見回してみれば、先程よりも人口密度が高い。長く居座るのは得策ではないものの、もう少しこの綺麗な瞳を持つ女性と話をしてみたい。そんな欲求に駆られてしまう自分が居て。
「 初めまして、よね..?一人で食べる甘味は味気無くて。少しお姉さんと話をしてくださらない? 」
と。ゆるりと緩めた口元を隠す事無く、席に着いた女性を真っ直ぐに見据えては。 )
>>42 遙さん
( ぴたりと動きを止め、数拍置いてゆっくりとした動作で振り返る目の前の少女。黒曜石の様な瞳が驚愕に見開かれ、此処からでも分かる程に滲む透明な膜。か細く、半信半疑といった様に紡がれた名前にこくり、と肯いて。
「 ええ..。私は正真正銘、赤司 彩織よ。 」
落ちないのが不思議な程張った透明な膜に、此方も涙腺が緩んでしまい。じわじわと視界の端からぼやける視界をものともせず、いつものように勝気に、自信を孕んだ笑みを浮かべ。──嗚呼、やはり年を取ると涙腺が脆くなる。つ、と頬を撫ぜる様に落ちた雫が合図となった様に、両の目からぽろり、ぽろりと涙が零れ落ちる。視界は既に水墨画の様に滲み、ぼんやりとしか相手の姿を捉えられなくなっていて。
「 ッごめ..なさ…っ。年を取ったら涙腺が脆くなってしまったみたいで。 」
手の甲で必死に涙を拭い、無理矢理笑みを浮かべるも一度零れた雫はそう簡単には止まってくれない。子供の様に涙を流し乍、抱き着いてしまいたい衝動を堪え乍、何度も目元を撫で。 )
>>42 時雨さん
( 酸素の行き渡らない霞んだ脳、全身が心臓になってしまったのではないかと言う程に煩く主張する鼓動。その全てを抑えるべく息を吸うも、走り続けた身体に急に取り込まれた酸素は胸に痛みを残す。ひゅう、と短い呼吸音の後激しく咳き込んでは、焦点の定まらない瞳で相手の背を見遣り。行っては駄目、危ない、そう言いたいのは山々だが、発する言葉は全て喘鳴に変わり苦しそうに再び咳き込んで。
苦しさから出る生理的な涙を袖で乱暴に拭い、もう一度相手を見れば。──結論から言ってしまえば、潜り抜けて来た戦の差と言うのだろうか。逃げる事しか出来なかった自分とは裏腹に、一瞬にして天人をのしてしまった男性に息をするのも忘れて阿呆面を浮かべる。話にならない、と言わんばかりの差にぽかんと口を開き相手を見詰め。追い付かない思考ではこくり、と頷く事しか出来ないものの、何とか怪我が無いと示し。
「 ───ッ..!! 」
その刹那、ふらりと立ち上がった影。天人達の中でも屈強な体付きに分厚い防具をした、その影は。此方を振り返った相手へ刀を振り上げようとしている。
相手の姿が自分の父親の姿と重なり、息を呑む。同時にブレーカーが落ちた様な、鈍い音が聞こえたと思えばかくん、と力無く俯く自分の頭。自分の懐に手を差し込み、現代で愛用していたセミオートマチックの拳銃を取り出して。
「 ──頭が高いわよ。控えなさい、下衆が。 」
凛とした声音でハッキリと、そう告げながら拳銃を天人へ向ける。ゆらり、上げられた顔は口元が愉快そうに歪み、何処か恍惚としている。リーチの差を感じたのだろう、それなりに頭の回る天人らしい。相手に斬り掛かろうとしていた天人はピタリと動きを止め、情けない悲鳴と共に仲間を置き逃げ去ってしまい。そんな逃げ去る背を一瞥すれば、視界に光が差し込んで我に返り。
「 ──あ..。うぇ、その..。 」
───やってしまった。頭の中は冷静に保っているが、咄嗟とはいえあんな行動を取ってしまった。あれ程目立つ行動は控えようと、そう決めた筈なのに。トリップ初日に黒い服を着た男達に追い掛けられた事を思い出しては眉を顰め、幼い子供の様に吃り恐る恐る相手を見。 )
(/有難う御座います!時雨さんの方は銃について詰め寄るなり真選組が来るからと逃走を図るなりして頂いて構いませんので…!
此方こそ急にスイッチが入ったり切れたりする子ですが何卒宜しくお願い致します!)
>>43 赤司征十郎 本体様
(/お声がけ頂き有難う御座います!
呼び方に関しては無難に姉さん、彩織姉さん、等であれば呼びやすい様に!此方は年の離れた弟ということで征ちゃん、とお呼びしておりますが大丈夫でしょうか?
此方こそポッと出て来た姉ですが、宜しくお願い致します!)
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