主 2017-06-06 02:50:34 |
通報 |
【玄関】
>和也さん
(いくら部屋と穏やかな態度に気が緩んでいたとはいえ恥ずかしいやら申し訳ないやら、というか手汗が気掛かりやら、とにかく無我夢中で触れてしまった手をぎゅっと握りしめながら玄関まで駆けていき。近づく足音に振り返ったのと腕を掴まれたのはほぼ同時で、勢い余って相手の胸元にぼふっとぶつかりながら)
ぁたっ…むっ…!?む…無理、なんて、そんな…ゃ、ちょっとだけしてます、けど、そうじゃなくて――っ…
(深い溜め息にビクリと震え、今度こそ怒りとまではいかずとも不快に思われただろうか、と真っ白になる頭で弁明し。確かに普段と比べれば無理はしているがそれは決して我慢や辛抱の類ではなく、しかし焦るあまり説明する余裕もなく、固くつむった瞼と鍵の入ったポケットを握る手に力を込め。だがこのままでは誤解されたまま終わってしまう、と意を決せば差し出される手を拒否するようにぱっと頭を下げ、噛み締めていた唇を開き)
――っ…無理しても一緒にいたいんです、和也さんと…!だ…だって、初めて私たちに優しくしてくれて、初めて、人間の方を怖くないって思えて、だからっ、もう少し…だ、け……
トピック検索 |