ねこさんのおうち ／ 1:1

　ある日の帰り道。ちょっとした気紛れで、貴方はいつもとは違うルートで自宅へ向かおうと思い付きました。
　この方向に向かえば自宅近くの大通りに出る筈。短い探検を終え貴方が最後に角を曲がると、嗚呼、なんて事でしょう。視界に広がるのは初めて見る美しい街並みと、様々な動物の耳や尾が生えた人間達の行き交う姿。

　コスプレなどではありません。そう、貴方は動物達が人の身を得て暮らす何ともふぁんたじ～な街に迷い込んでしまったのです！

　貴方がその場で呆然と目を瞬かせていれば、突然強く腕を引かれ、何者かの上着を頭から被せられました。
　貴方がハッとしたように顔を上げると、そこに居たのは他の住人と同様に頭から動物の耳を生やした謎の青年。慌てているのかやや早口になりながら自分に付いて来るよう言うと、彼は有無を言わさず貴方の手首を掴み歩き出してしまいました。

　こうして、貴方と黒猫の不思議な同居生活が幕を開けたのです…。