>シロ (お目当てのものが見つからずとうとう唸り始めた頃、首筋に走る強い悪寒に全意識がそちらへ向く。それから離れるようにばっと退き、首元を抑えて見上げた先には──大変見覚えのある顔。手には銀のスプーンが握られており、なるほど、それを当てたのか。この主人に。しかし的確に弱点を突かれた怒りよりも戸惑いの方が勝る。拮抗する空腹感と罪悪感に苛まれて何も返せなくなれば、ただ相手を見上げて) ぁ……シロ……。