赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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>帽子屋
(男にとって怯えや怖がりを認めるのはこの上ない屈辱だが、相手にとってはそういうわけでもないらしく――というより明らかにこれっぽちも怖がっていない様子でさらりと手だけ握られれば思い描いていた反応とは異なるものの、いつも一枚上手な大人が自分に頼ってきただけ良しとして「しょうがねぇなぁババアは、デカイ癖に気は小せえし。デカイ癖にアリス――俺にベッタリだし」ふんと満足げに鼻を鳴らしてはからかいを続けながら仄かに温いポケットの中、大きさこそ相手には負けるがしっかりとした強さのこもる手で細い手を握り返してやり。まだほんの子供だった頃はこうして母の手を引いてやっていたっけと、長い入院生活でもろくに思い出す事もない記憶を思い返せば何故男らしく固い手にそんな事を考えるのかと自分の頭を疑うが手を繋いだ思い出などその程度なのだから仕方がない。淡い星の光の元、リードするように木の根の間をずかずか歩きながらこの森の外に広がるらしい遊園地、湖、しばらくは退屈しなさそうな遊び場を彼の声を頼りに思い描くと期待に体がかっかと熱くなる。何よりこの愉快な遊び相手を明日も明後日も引きずり回せると思うと退屈に殺されかけていた昨日までの生活などまるで悪い夢のようで、また一組おかしな住人を紹介する相手に意気揚々と頷いては「じゃぁ決まりだな、朝になったら遊園地。朝飯は……歩きながら食えばいいか。飽きたら買い物で腹が減ったらキノコを食う。いいな?寝坊すんなよ」夜もまだ始まったばかりだと言うのにもう明日の計画を作り上げ、それでいいなと問い掛けるくせに異論は許さないと握りしめる手の力で訴え)
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