赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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>帽子屋
(もう無傷の薔薇などなくなって、満足と僅かな退屈に溜め息を吐いたその時聞こえてきたのはしゃんと響く男の声。途端に痛快な夢心地から窮屈な現実に引き戻されると声をかけてきたのは医者か心理カウンセラーか、鬱陶しい大人のうちのどいつだろうかと仏頂面で振り返るが、その瞬間チカチカと目の奥まで突き刺さるような鮮やかさに気圧されギョッとしたまま固まって。笑う唇は薔薇より赤く、長い髪はちゃらちゃら手足に纏わり付く金の飾りよりなお眩しい。異質な派手さに危うく襲われかけたツタにも気付かず釘付けになっていたが、そんな己を解放したのもまた彼の拳であり「痛っ――てぇな……!何しやがんだクソババア!」ゴツ、と鈍い衝撃で我に返ると華やかな見た目への興味など理不尽な痛みへの怒りに一瞬で塗り替えられ、しかし憎らしい三日月型の唇を見上げればどうしてもそちらに気が行ってしまい、声も体格も男性である相手に女性として食ってかかり「触られたくなきゃ柵でも立てとけ、取られたくなきゃ名前でも書いとけよ。それから俺はアリスじゃないしアンタみたいな知り合いもいない、人違いで殴んなよな」背の高い彼を睨みながら、ついでに痛む頭をさすりながらぶつくさ文句を並べ立て、何だか得体の知れない相手の言葉に不機嫌に顔をしかめて)
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