赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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黒兎さんが教えてくれたんです。ここではみんな名前を忘れてしまうんだって。
(かの兎はこの国での常識を教えてくれたのだと思っていたため悪知恵というあまり良い響きを持たない言葉が聞こえてくれば首を僅かに傾げてしまい、己の名前に関する知識の元を口にしつつ内緒話をするかの如く小さく潜めた声で相手が新たに告げる事実に耳を傾けて飛び出したのは「元の世界に戻れるんですか?」という素朴な疑問であり、男性が室内に足を踏み入れた様子をしっかと視界に捉えてから扉を閉ざしては「僕のアリスじゃない方の名前は、スヴェンと言います」と彼に合わせて声を低くして答えた後、差し出された紙袋を″ありがとうございます″と微笑を以て受け取り、丸い机上に積んだ幾つかの小説と栞を差し込んで見開いた読みかけの本を視線で示し変わらぬ穏やかな声音で。)
本を読んでいただけだから、用事は無いんです。それに、誰かとお話をする方が僕は楽しいですから。
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