赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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>芋虫
芋虫さん、初めまして。僕はスヴェ――あ、そうか。この名前は必要無いんですよね。
(元居た世界ではあまり見る機会の無い緑の髪を湛えた男性の穏やかな容貌と柔らかな物腰は扉越しに抱いた印象とほとんど変わらず、滑らかに紡ぎ出される挨拶を耳にすれば自身もまた初対面の礼儀を重んじ慣れ親しんだ名前を名乗ろうとするもハタと思い至るは先日黒兎に説かれた記憶。この国では不要な自己紹介であったと気付くや謝罪の断りを入れようと口唇を開き、けれどそれは彼がその手に掲げた紙袋とその中に姿を秘めた菓子の名称を告げられたことで瞬く間に意識の外へ押しやられてしまい、言葉を交わすより前に芳香に密かに気を惹かれていただけに気持ち弾んだ調子で「マフィンですか、嬉しいなあ。僕で良かったら喜んで。さあ、入って下さい」気遣いに満ち溢れた相手の誘いを一も二も無く承諾すれば扉を更に内側に引いて己の身を脇に寄せ、相手を部屋の中に招き入れんと。)
(/お気になさらず……!)
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