赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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(些か大袈裟なほどに自らの両手に巻き付けられた包帯を眺めやり、右手の指先で左のそれをするりとなぞり。出血があったから自分自身驚いていたのだけれども怪我の一つ一つは大したことはなく、消毒など必要な手当を受ければ後は休んでいなさいと部屋に押し込まれたのがつい先刻のこと。窓の外は日が暮れ始めていて、結局此処はどういう場所なのだろうとぼんやり思考を展開していた時、足音のようなものが耳朶を打ち、顔を扉へ向ける。しかし誰かが入ってくるような気配もノックの音が鳴る気配も感じられず、気の所為だったのかと首を傾げつつも現状を把握したい欲求を堪えることが出来ず椅子から腰を上げては自ら扉へと。ノブを回して薄く開いて部屋の外を見ると其処には黒髪と同じ色彩の耳をした長身の男性が佇んでおり、庭園での出来事を思い出せば頬を綻ばせて朗らかに挨拶を。)
あっ、こんにちは――もうこんばんはかな?あなたは、庭で会った兎さんですね。あの時はありがとうございました。
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