赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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>芋虫
(本の森がもしあったならば、きっとこの図書館のようであったに違いない。天高く積まれた書物には祖先の知恵とめいめいの想いが詰まっていて、それには大小は存在せず読者へ黙って語りかけてくる言葉の洪水なのだと。森の中にひっそりとした優しい背中、耳に触れる音楽も大変心地よい空間を作り出しているのが愛おしい。ひそめた声にて「キャタピラー、昨日のアリスだよ。」言いそびれた本当の名前を告げようと横の椅子へ腰下ろし、頬杖つき集中して文字を追いかける横顔に微笑浮かべ。また話すことが出来ていなかったのは生まれ故郷の事。彼はどうやら推理小説を読んでいるようだと察すればつい「バスカヴィル家の犬、緋色の研究…最後の事件。」と英国一有名なかの名探偵が活躍する作品の名が出て来てしまったらしい。我ながらささやか過ぎる本への知識だと僅かに困ったような顔に、続けて「面白いかい、謎が謎を呼んで君を離さないのなら僕は君が夢中になる理由を推理する必要があるのかな。」なる冗談を。)
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