語り部 2016-11-11 07:32:53 |
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>白雪様
…白雪、様…。…私はまだ、今の自分自身の考えを定められていません。グリムの兄弟様はこの国の民にとって最高神のような存在、彼らがこの世界を滅ぼそうとするのなら…支配される民は、それを受け入れるべきなんじゃないか、とも考えています。…それでも潔く死を望む勇気もない、私はそんな半端者です。
(森深くにひっそりと存在した村、しかもその村でも一等貧しい暮らしをしていたからこそ目の前の姫に一体どんな対応をすればいいか全く持って見当がついていなかったものの、高貴かつ高潔な存在なのだろうとばかり思っていた当の目の前のお姫様はむしろ親しみやすささえ感じる快活なお姉さんのような反応ばかりを見せて。その想像とのギャップに思わず相手に誘われるように小さく笑みを漏らしてしまえば未だ少々の気後れを感じつつもそっと握手を交わして。それから漸く地面に座りっぱなしだった体を起こし白いリネンのワンピースについてしまった土埃を落とすと相手に向き直り。堂々と自らの意思を口にする相手、そんな風には到底なれはしないまだまだ不安定な心の内を胸元の銀貨を握りしめながら語りだすと少しだけ視線を落とし。この世界に生まれた存在としての想いとセレネという一人の少女としての想い、未だどちらの想いにこの身を任せるべきか振り切ることは出来ていないがだからこそ相手の言葉にひとつの決心をしたようで、改めて相手の瞳を見つめながら言葉を続けて。)
貴方の決意に身を任せることは、きっと出来ません。身を任せるとこの場で誓っても、私の心は曖昧に揺れてしまうでしょうから。危険であっても仮に誰かのためにこの命を使えたら、半端な私の悩みに終着を見いだせるかもしれないから…そんな、自分本位で貴方に寄生するような理由です。それを知っても私を連れてくれるのなら、私の思いを決して諭さず私自身に委ねてくれるのなら…私は貴方のためにこの力を振るいましょう。
>ケルツェさん
――…ごめんなさい、取り乱してしまって。たった一人…そう思わないように女神様の銀貨を握っていたけれど、実際は独りぼっちですね。この状況では何を頼りにしたらいいかも分からなくて…。
(あの凄惨な爆発の後漸く出会えた温かさを失っていない相手、思わず縋りついてしまったものの暫く涙を流して不安だった心を吐き出せば少しずつ落ち着いてきて。改めてきちんと心の整理がついて来れば何ともはしたない行動をしたという後悔も同時に押し寄せ、困ったように薄く笑みながら相手から体を離すと謝罪の言葉と共に相手の向かいにきちんと座り直し。一人きりだったのか、その問いはそもそも自分自身考えないようにしていた事柄のひとつでせめてでも心の支えにとずっと握りしめていた女神より賜った銀貨がその思いが行動へと変わったそのもので。とは言え伝えるべきは正しき現状、少しばかり汚れてしまったワンピースの裾をぎゅっと握りながら返事を返していけばそれと同時に思わず視線も下がっていき。暗くなってしまいそうな気持ちをどうにか持ち直そうと少しだけ赤い目尻を指で撫でる様に擦ってから視線を相手に戻せば緩く口角を上げながら言葉を続けて。)
…でも、お兄さんのおかげでもう独りぼっちじゃなくなったんでしたね。私の存在に気付いてくれて、私の涙を受け止めてくれて、本当にありがとうございます。
>死神さん
…分かりました、先程は見苦しい姿をお見せしてしまってすみませんでした。町を抜けるまで、お荷物になってしまうかと思いますがどうぞよろしくお願いします。…死神さん程戦える方なら不要かもしれませんが、もし敵に囲まれてしまった時や疲れてしまった時はどうぞ私を頼ってみて下さい。
(あまりに単純と思われてしまうかもしれないが女神様と面識がある、という返答の信頼性は己の中では非常に強く。というのも両親が亡くなって以来まともに頼りに出来た存在は天から此方を見守ってくれている女神様だけ、だからこそ相手の一言にほっと安堵の息を漏らすと瞳の端に残った涙を拭いながら安心したように微笑んで。漸く相手への警戒心も解けたのか年甲斐もなく号泣してしまった先程の無礼を詫びるとマントを両手で首元へと引き寄せながら頭を下げて。続けて口にするのは信頼できるだろうと思ったからこその助力の申し出、とはいえ相手の戦いっぷりを目にした今ではその役目も全うできるかどうかといったところで思わず一人苦笑を漏らして。「…それでは、その…よろしく、お願いします。」一通り言葉を交わせばそろそろこの惨劇の現場からも早く脱すべきところ、しかしながら先程の荷物の如き運び方は少々女の子としては複雑な心情を生むもので。とはいえこの状況で守ってもらう上そんな我儘を言う勇気など勿論なくて、少しの戸惑いを窺わせつつも言葉を口にすれば担ぎやすい体勢など見当もつかないが一先ずぎゅっとマントを握ったまま身動きを止めて。)
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