(非募集)名前を教えて

一年が終わろうとしている頃にきた着信にそばを食べる手を止めて携帯を手に取る、相手を確認してまたそばをすすりながら受信ボタンを押すと聞き慣れた声が嬉しそうに語りかけてくる。

「もしもし、神谷さん今なにして‥年越しそばですね、俺はさっき食いましたよ」
「今日はニャンコ先生はもう寝たんですか？すごい静かですね」

相変わらず賑やかな様子に思わず笑いが漏れてきていっそう彼が図に乗って話す材料になってしまった。

「えっと‥それでー…」


十分もすると話がつきてきたであろう彼はそれでも電話を切る気が無いらしい。必死になって間を繋ごうとする、僕との繋がりを切るまいとしているようだ。

「…小野くん、明けましておめでとう。今年もよろしくね」

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!」

何だかんだ年が明けるまで話に付き合ってしまったことに苦笑しつつ形式通り挨拶するとどこか照れているような声で返してきた。




「小野くん、気持ち悪い」