赤傘の名無し 2016-10-18 23:03:33 |
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それはある日突然、そりゃもう本当に一瞬で、気づいたときにはもう、辺り一面緑と茶色で埋め尽くされていた。
「――こ、ここどこっ!?」
よもやこんな迷子のような台詞を大声で叫ぶことが人生であろうとは思ってもみなかった。だが、それくらいしか咄嗟に口をついて出てくる言葉がなかったのだ。
やや日が落ち始めてはいるがまだ青さの残る空はよく茂った木々でその視界を狭められ、草や木の葉で覆われている地面は日の光が差さないせいか少し湿っている。ここが深い森の中だということは、まあ見れば分かる。
問題は全く見覚えのない場所だということだ。
…それどころか、いつここに来たのかさえ分からない。私は今ここに移動してくる前、一体何をしていた?
「えっと…とりあえず落ち着け、落ち着け…。まず私は…そう、学校から帰ってる途中だった。何時もと同じ校門から出て、何時ものように通学路を歩いて……で、何時もしてるみたいに道をショートカットしようと公園を横切ってそれで…… 」
…それから、どうしたんだったか。
何故か、その後の記憶がスッポリとない。公園を横切ってからその直後が、今目の前に広がっている景色と直結してるのだ。
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