ヒーローと日本刀【非募集】

おぉっ、それがいい！せっかく天気も良いのだからな！
(相手の願いを聞けば、ぱっと振り向き顔を明るくして。こちらに店員の手が回るまで少しかかったため、その間己も品書きに目を通して何を頼むかを決めており。すぐ後に、現代でいえば中学生程の少女が駆けて来たため、そちらに顔を向け「すまないが、外の方にお茶を二つと…みたらし団子を」と自分の注文を済ますと、言葉を促すように相手にチラリと視線をやり)

んー……、俺はお汁粉で。
(相手と同じみたらしにするか、先ほどから気になっている餡を使った甘味を選ぶかで真剣に悩んでいたものの、やはり甘いものには勝てなかったのか迷った末に少女に注文して。少女が店の奥へと戻っていったのを見届けると外の椅子に腰掛けるも、だんだん体型のことが気になってきたようでぽつりと「お汁粉って太るかなぁ」と零して眉を下げ。)

気にしすぎじゃないか？少しの量じゃ太らないと思うぞ？
(相手に続き隣へ腰をおろしたが、ポツリと聞こえてきた相手の言葉を聞けば軽く笑い飛ばしてしまい。あまり体型のことで悩んだことのない自分にとってその考えは理解し難いのか、心底不思議そうに首を傾げ。じっと相手を見つめていたかと思えば「それに、加州…お前は痩せているのだから、そんな心配する必要はないんじゃないか？」と何の前触れもなく、確認するように相手の二の腕辺りを手で掴み)

そう？…って主、少しは遠慮してよ！
(少しなら大丈夫、との言葉に安心し表情を和らげるもだしぬけに二の腕の辺りを掴まれればぴしりと固まって。いくら男同士で遠慮の必要がないとはいえわざわざ確認しなくても、と少々デリカシーに欠けるある意味相手らしい行動にむくれながら抗議して。仕返しのように相手の腹の辺りに触れると、こちょこちょと擽りながら「っていうか裸も見たことないくせになんで痩せてるってわかるの。隠れてるだけかもしれないじゃん」と反論し。)

わっ！？分かっ…ちょっとまて！とりあえず…くすぐる、のはっ…止めろ！
(まさか反撃をしてくるとは思わず、すっとんきょうな声を上げ。くすぐったさに身をよじらせ笑い声をこぼしながらも言葉を返すと、最後には相手の両手を掴み止めることに成功して。そのまま呼吸を整えるように深く息を吐くと「ふむ、それも一理あるな…。まっ、体型がどうであれ加州が可愛いことに変わりは無いからな！ふははは！」と思ったことをペラペラと語り)

っ…またそういうこと言う。
(故意にか否か聞いているこちらが恥ずかしくなりそうな言葉を言われ、熱を冷まそうと掴まれた両手を抜き取り火照る頬に手のひらを押し当てて。お盆に団子とお汁粉、お茶をのせた少女がそれなりに重さのあるそれを懸命に運んでくると、立ち上がり受け取って「ありがとね」と口元に小さく笑みを浮かべ。再び腰掛けては相手との間にお盆を置き、お椀の中を確認するや否や「白玉入ってる…！」と目を輝かせて。)

ははっ、良かったなぁ。…―ん、美味い！
(己の団子を手にしようとした際、相手のどこか幼く見えるその反応が微笑ましく軽い笑い声を立てて。見ていたら自分も早く食べたくなったのか、手元の団子に目をやると早速1口食べ始め、飲み込んだ後は顔いっぱいに笑みを浮かべて頷き。ふと先程の事を思い出したように横目で相手を見ると「そういえば…加州は甘味が好きなのか？凄い食いつき様だったが」と食べ進めながら、何となく問いかけ)

…そんなにわかりやすかった？
(匙で白玉を掬いぱくりと食べると、その甘さに思わずといった様子で頬を緩ませて。もぐもぐと食べながら相手の問いかけに深く頷くも、直後の一言にぴたりと咀嚼をやめ飲み込んでから気恥ずかしそうに問い返し。言い訳がましく「だって甘くて美味しいからさー…あ、食べる？」と呟き餡と白玉を匙にのせて見せつつ緩く首を傾げて。)

おっ、いいのか？では…
(恥ずかしげな相手に対し、そんな所も可愛く思えるのか返事の代わりに微笑を浮かべ。小さい事だが
、相手を一つずつ知れていく事をどうしようもなく嬉しく思い。そんな風に考えている途中、問いかけに反応してはそちらに顔を寄せて、大口で食べてしまえば少し驚いたように目を開け「これも美味いな！」と親指で口の端を軽く拭い。次は自分の番だと団子を差し出すと「ほら、お返しだ」と笑顔で待ち)

あー…ん、おいひい。
(驚いた様子を微笑ましげに眺めては、差し出された団子をぱくりと一口食べ。白玉とはまた違った食感や少し塩味のある甘さが美味しくて、片手で頬を押さえ心底幸せそうに零し。唇についた葛餡をぺろりと舐めとると、好奇心からか心做しか楽しそうに「そういえばさー、主の時代だと甘味も横文字なの？」と疑問を口にして。)

―ん？おぉ、そうだな…ほとんど横文字だぞ！
(幸せそうな表情を見守るも、その視線はチラチラと唇にいってしまい。“そういえば柔らかかった”なんて突然思い出してしまえば、正面を向き落ち着かない様子で再び団子を食べ始め。その途中、相手の声に少し肩を揺らし反応すれば顔を向け、改めて自分の時代の物を考えるように正面へ顔を戻すと「ポテトチップスとかビスケットとか...あとはケーキとかだな」と残りわずかな団子を食べつつ、横文字の菓子類を淡々と出して)

横文字ってだけでちょっとカッコよく聞こえるよなー…。
(落ち着きのなさに加えてちらちらと寄越される視線に気付かないはずがなく、可笑しさを堪えてすました顔のままお汁粉を食べ続け。連なる横文字を聞いたところでどんなものか想像はつかないものの、耳慣れない響きだというだけで何だか洒落ている気がして小さく呟き。ふと手元のお椀の中の餡に視線を落としたかと思えば、少しばかりからかってやろうと「─…ねえ、今キスしたらたぶん甘いよ」と耳打ちして。)

―ングッ！？...ッ！
(他に代表的な物はあっただろうかと団子を食べながら考えていたが、予想もしなかったその言動に驚き口に含んでいた団子を軽く詰まらせてしまい。青ざめた顔で、すぐさまお茶を手に取り勢いよく飲み干すと、糸が切れたように深い息を吐いて。いかにも動揺したようにぎこちない笑みを浮かべると「お、お前な...突然何を言い出すんだ」と、最後の一口を食べつつ)

ぷっ…ごめんごめん、だいじょーぶ？
(予想を上回る反応の良さに笑いを禁じえず、茶を飲み干した相手の背を優しく撫でて心配するような言葉をかけつつもその口元は緩んだままで。そっと手を離し自分もお汁粉を食べ終えてしまうと、のんびり茶を飲みながらさらりと「でも半分本気、人前じゃなかったらちゅーしてた」と本音を言い添えて。飲み終えれば一息ついて、空の湯呑み片手にお代のことをぼんやりと考え。)

まぁ、それは…“帰ったら”な！支払いを済ませてくる。
(己もこんなに人目がなければ食いついていたと考えつつ、どこか照れくさそうに自身の唇を軽くさすり。相手の椀が空になったことを確認するとスッと立ち上がり、口角を上げながら相手の頭を撫でるように少しばかり力を入れて手を置き、手を離したかと思えば店の奥へと消えていき。そのまま支払いを済ませた後戻りながら、肉を買う分には十分だろうと残金を見つめて。それも袂にしまい込むと「さて！引き続き肉を買いに向かうぞ！」と片拳でガッツポーズを見せて)

……帰ったらすんのかよ。
(相手にもその気があったのだとわかると途端に恥ずかしくなってきて、支払いのために相手が席を立った後薄らと耳を赤く染めてぽつりと呟き。団子ののっていた皿や自分の椀、湯呑みなどをお盆にのせれば、見送りのために相手と共に奥から出てきた少女に渡して「ごちそうさま」と伝えた後、相手を振り返り「食材はこっちね」と方向を指差し歩き出して。)

おう！…
(同じように少女に軽い挨拶を済ませた後、振り返った相手の顔を見ながら元気良く返事をしては気合いを入れるように荷物を持ち直しその隣に続いて歩きだし。様々な店や物事に目を奪われ時間をくいつつも、楽しみながら街中を歩く事が出来たようで。目的地が見えてくれば思わず一人駆け出していってしまい、相手の数メートル先の店の前で振り返ると「おぉ…加州！ここか？！」なんて、やはり初めて見る場所には興味をそそられるのか、子供のように指で店を示し）

そうだけど、ちょっとは落ち着いてよ。
(どんどん先へと行ってしまう相手の背に笑いながら声をかけると、早足でその隣へと並び店の中へと足を踏み入れて。豚、牛、鶏、と様々な肉の入った冷蔵ケースを困惑しながら眺めていたかと思えば、結局どの肉をどれほど買って良いかがわからず、店主を呼んで「はんばーぐ用の肉を2人分でお願い」と全てを丸投げにするようなことを言い両手を合わせて頼み込み。)

...。危うく忘れそうになるな…―ありがとうっ！いくらだ？
(この時代の人々にハンバーグが分かるのだろうかと心配そうに見守っていたが、その店主はすぐに一番適している合い挽き肉をしっかりと持ってきて。そういえば此処は自分の思っている“昔”とは少し違うのだと一人心の中で頷くと、ポツリと独り言をこぼし。すぐに切り替えるように店主に笑みを向けお代と物を交換し、挨拶をした後改めて出口の方へ顔を向け「っと、沢山寄り道をしたからなぁ…。暗くなりすぎると危ないし、もう帰るか」と、どこか残念そうにぼんやり空を眺め)

─…主、ありがとね。
(無事買い物を済ませると店の外に出て、つられるように空へと目を遣りつつ小さな声で礼を言い。今日一日だけでできたたくさんの幸せな思い出を心の中で一つ一つ思い返せば、自然と表情を綻ばせて「今日も幸せだった」と零した後夕日に照らされ橙色に染まった道を本丸の方向へ歩き出して。帰ったら洗濯物をしまって早速ハンバーグとやらを作らなければ、とこれからやるべきことに思いを馳せては嬉しそうに目を伏せ。)