ハナミズキ 2015-10-30 16:57:47 |
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宿屋の主人が言っていた通り、そこに居たのはグリュフォンであった。今は罠で足止めをしているが、これも長くは持たないだろう。幸いな事に、周りに人気が無かったので、ユーリは一気に片を付ける事にした。
「防御率低下、魔法封じ、属性防御剥離、俊敏ダウン」
グリュフォンの頑丈な体は、なんといっても鎧の様な皮膚である。ドラゴン系に属する魔物はみな、固い皮膚や鱗でおおわれており、HPを削るのが大変なのだ。それを回避するためには、属性防御の剥離が重要となる。それに加え、防御率も半端ないので、そこも減らさなくてはならない。そして、魔物のレベルが高くなると自己回復を出来る魔物もいる。グリュフォンも例外ではない。
「モーラス(猛毒の霧)。アーチャースキル、光の矢!」
毒霧に包まれたグリュフォンは悲鳴にも聞こえる雄叫びを放つ。そこに天から巨大な光の矢が飛んできて、グリュフォンに刺さった。
それでもグリュフォンはまだ抵抗を続けていたので、今度は剣を召還し、その剣を地面に刺し、「グランドクロス!」と唱える。地下に眠るマナの個体が剣に反応し、地上から天に向かって激しい磁場が発生した。磁場はグリュフォンが居る魔法陣に集中し、渦を巻くように天へと向かって登っていく。
磁場に囲まれ、その磁場の気に触れた魔物は、その影響を受けて体がしびれて動けなくなるうえに、かなりのHPも減らす事ができる。しかしこれは、ある程度魔物のHPを減らしていないと使えないのだ。
次にユーリが唱えた魔法は、「真空邪破」その名の通り空気の無い空間を作りそこに魔物を閉じ込めて、圧縮していく魔法使いスキルだ。その空間が小さくなったころ合いを見て、「滅!」と呟いた。
グランドクロスと一緒に、真空状態にされたグリュフォンにはなす術もなく、そのまま塵と化してしまった。グリュフォンが居た場所には、グリュフォンの置き土産とも言えるドロップ品が数点残されていただけで、魔物が居た形跡は微塵も残ってはいなかった。時間にすれば5分程度というところだろう。
それらを拾い集め、ユーリは何事も無かったかのような顔つきで再び宿屋に戻って行ったのであった。
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