ハナミズキ 2015-10-30 16:57:47 |
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グリュフォンは本来、天空都市の山奥に住んでいる生き物だ。人里には降りてはこない。そのグリュフォンが何故ここに居るのかは不明だったが、それ以上にグリュフォンのレベルがやばかった。
天空都市にいる魔物のレベルは60~であり、その中でグリュフォンのレベルはLv70だったのだ。そんな魔物が下界に降りてくれば、グリュフォンを倒せる冒険者などは殆ど存在しないも同然である。銀の腕輪(Lv71~80)を付けた冒険者達はみな、天空都市へと移動しているからだ。ハロルド達は呆然とした。このままでは自分達はおろか、スワンの村まで滅んでしまうと…。
ガタガタと震えながら悲壮な顔つきでグリュフォンを見ている三人とは裏腹に、モリトは落ち着き払った態度で少し考えていた。自分一人なら時間はかかるが、グリュフォンなら倒せる。しかし、三人を守りながらでの戦いはちょっときつかった。だが、レベル50前後の冒険者なら、自分の身くらい自分で守れるであろうと考えた。そして、恐怖で思考が上手く働いていない三人に対し、自分達が今何をやるべきなのかの指示を出し始めたのだ。
「リズ!全員に素早さと防御をかけて!その後すぐにバイキルト(攻撃力UP)全開!タイミングを計って回復魔法!余裕ができたらドグラス(毒)だ!」
「は、ハイ!!」
「ケントは援護射撃でグリュフォンの目を狙え!倒そうなんて考えなくていい!動きを止める事だけを考えろ!」
「わ‥分かった。やってみるよ」
「ハロルドはブレストレイン(剣に氷魔法を乗せるスキル)使えるな?」
「ああ」
「危険だからグリュフォンには近づくな。遠距離攻撃でギリギリの範囲で戦うんだ。できるね?」
人が変わったかのように指示を出すモリト。三人はすっかり、モリトがLv1の銅褐色冒険者だと言う事を忘れていたのだった。それぞれがモリトに言われた通りに動き、即席チームのわりには中々連携が取れていた。
三人をなるべく安全な距離からの攻撃に回し、自分はグリュフォンに向かって突進していった。
「モリト!!何する気だお前!!!」
グリュフォンに突っ込んでいくモリトを見たケントが怒鳴ったが、次の瞬間、その場に居た誰もが驚き、ゴクリと固唾を飲んだ。
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