ローザネーラ 2015-08-25 23:30:03 |
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>ローザネーラ
…旦那様は、以前私が"唯一"についてお話しした時のことを覚えていらっしゃいますか。
(相手に自分が分け与えようとした温かさに対するお返しなのだろうか、ふわりと柔らかく体を包むストールのぬくもりにそっとその裾を引き寄せながら視線を上げると、窓辺に佇む相手を見つめて。明るく夜を照らす月の光で影を落とした相手の表情は自分からはよく見えなくて、それでも相手から紡ぎ出される言葉や声色からその感情は伝わり。そうして自分の傍へと戻り胸中の困惑を和らげようとするように触れた相手の手、その手をそっと取りそのまま両手で包み込むように握ると僅かな震えを含んだ小さな呟きを続けて)
__私は、旦那様の…貴方の、唯一の存在になりたい。貴方に、私の唯一の存在になって欲しい。我儘で、烏滸がましい、使用人として失格としか言いようのない願いだと分かっているの、に…っそれ、でも…ッ!
(使用人としてではなく、自分という一人の存在として相手を傍で支えられないことを寂しいと思ってしまった。それを自覚してしまった以上以前相手に話した"唯一"の存在を相手に求めていることは明確であり。使用人としての自分の価値を貴んでいたからこそ自らそれを壊してしまう身勝手な願望、それに心が耐えきれなくなったかのようにじわじわと涙が溢れ出し。ぎゅっと握った相手の手をまるで祈り懇願するように額に寄せると、か細い声で揺れる心情を曝け出して)
__ッ、愛しく、て…愛しまれたくて…堪え、られなくて、ごめんなさい…っ!
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