雪風 2015-06-07 23:36:40 |
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思わぬ言葉を聞いてしまった。
お父さんが結衣にそこまで言うとは思っていなかった。
開けたドアノブを持ち体半分だけ玄関に入りながら僕は行動が停止した。
少しの静寂があった後、結衣の泣き声で聴覚が一杯になった。
間が悪いのを承知で入ったが、これは予想できなかった。
僕は判断ミスを後悔する。
動けずにこの後にどうするか迷っているとリビングの扉が開いた。
廊下に出てきたのはお母さんだった。
「お帰りない。良かった。」
お母さんは憔悴した顔をしていた。
「ただいま……。」
お母さんは頷く。
「ご飯食べる?」
今度は僕が頷く。
「あっ!お風呂が先の方が良いわね。早く入って来なさい。」
お母さんは少しだけ笑った。
その笑がとても意味深長に思えて、何だか怖い気がした。
「離れに着替えを取りに行ってくるよ。」
お母さんのいう通りお風呂に入ろうと思った。
「こっちに洗濯したのがあるから大丈夫よ。用意するから早く入ってきて。」
「分かった。」
僕は靴を脱いで、お母さんの横を通り過ぎ風呂場に向かった。
お母さんは何を考えているのだろう。不安を感じながら僕はお風呂に入った。
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