雪風 2015-06-07 23:36:40 |
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僕は大学に進学したいなんて言ったことはない。
考えたことくらいはあったが、そんな考えは直ぐに否定してきた。
だって、
高校を卒業したら就職し、お母さんに楽をしてもらおう。
と、小学校を卒業する頃には考えていた。
僕の望みはずっと、働き詰めのお母さんを助けることだった。僕が収入を得るようになって喜んでもらうことだった。
僕が稼ぐから、もうお母さんは無理しなくていいんだよ。
そう言いたかった。
でも、その必要はなくなった。
お母さんは再婚した。そして、
お父さんは、お母さんを無理して働く生活から解放した。
僕が何年も前から目標にしてきたことを、お父さんは意図も簡単にやってのけた。
しかも、僕が進学するお金まで出してくれるという。
これは幸運が舞い降りたと考えていい。
なのに何だろう。この心のわだかまりは。
お母さんに楽をしてもらうという目標を失った。
その目標が無くなるのは本来良いことだ。お母さんを解放するのは誰でも良い。そう……僕でなくても。
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