moon 2015-01-25 00:12:50 |
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ストリートミュージシャンなんて、ただの迷惑行為を振り撒く奴らだろ。
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首都東京。騒がしい街に住む少年は、駅前で幾度となく繰り返されるストリートミュージシャンたちの演奏にうんざりしていた。
音楽に裏切られてから少年は、音楽というものが嫌いだった。
音は心に何かを訴える為の最高の手段?
音は心を大きく揺り動かすことが出来る?
馬鹿馬鹿しい。くだらない。そんな訳ないだろ。適当なこと言うなよ。
そうして今日も、駅前には音が溢れ出す。
学校帰りには必ず駅前を通らないと行けないので、少年は必然的にその音楽を聴くことになる。
ああ、またか。全く飽きないな。早く警察に注意されて散ればいいのに。
観客も観客だよ。なんであんなのの演奏わざわざ聴くんだろ。
心内でぶつぶつと愚痴を溢しながら、今宵のストリートミュージシャンの前を足早に通り過ぎる___はずだったのだが。
少年の足はぴたりと止まった。目線も一点に釘付けになっていた。
珍しい、エレクトリックアコースティックギターを弾き語りしている、一人の男。
男の声は耳障りなミュージシャンたちの声とは違った。ギターの音色も、ただかきむしるようにがむしゃらに弾くミュージシャンたちとは違った。
__もう、音楽なんて関わるもんかと思っていたのに。
音楽の魔法はいつだって、誰にだって平等に、そして突然訪れる。
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