karasu925 2014-12-04 17:24:52 |
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「さぁ、ここが山田君の部屋だよ。」
「おぉー!!!」
優璃はあまりの光景に目を輝かせた。
今は前の部屋から約60メートルほど離れたところにある階段で地下らしき場所に降りたあと、100メートル程まっすぐ進んだところにある部屋にいる。本当に監禁部屋でもありそうな雰囲気の道のりを経て目にした光景に優璃は驚きを隠せなかった。何故なら、“目の前が海中だった”からだ。
「凄い…窓越しに海の中が見えるとは……」
「驚いてくれたようでよかったよ」
ユカリは優璃が驚いたのを見て、とても満足そうだった。
「此処が僕の部屋か…」
「そう、山田君の部屋。」
一通り部屋を見回す。デーブル、ソファ、テレビ、ベッド、トイレ、シャワールーム、キッチン、クローゼット、それ以外は何もないが、その素朴な感じが妙に好ましかった。元いた自分の家もこんな感じだったからだろう。
「でも、何故地下なんだ?」
「………それは秘密………」
「何でも話してくれるんじゃないの?僕を拉致した理由、その経緯、これからのことも……」
「………………………………わかった…」
ユカリは観念したかのように目を閉じた。
*
*
*
この世界の中には、『異端者』と呼ばれる存在がいる。それは通常の人間とは違い、世界の様々な法則性を無視した力を持っている。ある者は手から火をだし、またある者はずば抜けた身体能力をもっていたりと、実に様々である。山田優璃もまた、『異端者』の一人である。彼は特異稀な存在であり、複数の能力を持つ『多重能力所持者』である。それはさておき、この世界には『異端者特別研究会』という異端者研究団体がある。ここでは日々、異端者の研究が行われており、その内容は、ちっぽけな観察から、果ては非・人道的な残虐的なものまであるという。しかし、それでも彼らは罪を問われることはない。何故なら、『異端者には人としての法が適応されない』からである。簡単な話、『人として見られない』からだ。その研究会は、新たに『山田優璃』という極上の実験材料を見つけた。ユカリはその研究会の会長の孫娘であり、研究施設へと監禁される筈だった優璃を自分のもとへ来させることで、研究会の手元から逃したとのことだった。
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