匿名ゆき 2014-11-23 17:15:10 |
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どうして僕はこうも自己中心的なのでしょうか.
形式や構造,概念という言葉にこだわり続け,目の前にいる人々をあまり真正面から見ることがなかったと思います.
自分が他人と比べて特別尊い,というような意識はなく,寧ろ外界からの重圧や期待に押しつぶされてしまうのではないか,という不安が私を掻き立てていることがあったのは事実です.
望まれる自分であるため,そんなことのために僕は君を利用,とまでは言わないものの,傷つけてしまったことは間違いないです.
確かに,一人で過ごす時間のなかでは,自己が拡充されていく心地良さはあります.
けれど,難解なものごとを解釈して蓄えたところで,君が見えるようになるわけではありません.
知覚の扉を開いているような人,卓越した表現力をもつ人,容姿端麗な人.
君の周りの人や語る人々には,僕にないものを持っていました.
僕はそれほど自己評価が高くないので,焦りを感じていました.
透き通った目でそれらを見つけ,見出す君自身にも,君が語る人々にも嫉妬していたのかもしれません.
君に見出されたい,という意識が過剰に膨れ上がってしまい,少しだけ音楽を始めてはやめ,絵を描いてみてはやめ….
僕は唯一の取り柄であると自負している有限体の構造を応用した技術である符号理論を,それを専攻している人並み以上に理解しなければならない,と焦っていました.
僕は自分が嫉妬していることすら,昨年の冬頃まで君に対してあまり明らかにしていませんでした.
男の嫉妬は君からみれば気持ち悪いのだろうという意識と,束縛的な態度は君を疲弊させてしまうだろうという意識から,常にこらえ続けていました.
好きだと言えなかったのは,恥ずかしさや,断られることに怯えていたからでした.
君との会話は,言葉の表面だけ取り出せば棘のあることもありましたが,あまり人の寄り付かない森林のなか,公園に置かれた長い滑り台を滑り抜けながら風を切るような心地良さがありました.
たとえ鎌鼬が頬を切っても,あたりの葉が木枯らしに乗って僕の前に降り注ぎ,傷口を塞ぐかのような.
夜,雨嵐のなか,素朴に咲いている百合の花,咲き誇っているわけではないが,明るすぎず暗すぎず.
辺りには誰もいないけれど,どうしても僕の目にはとまってしまった.
そのとき僕の懐中電灯は君を照らしていて,周りは真っ暗な煙に包まれていた.
気が付いたときには,僕の手元は君のほうだけを向くようになっていた.
僕はこんなことが言いたいわけじゃないんだ.
僕はただ,初めて会ったときから理知的で可愛らしい人だと思っていたことだとか,何かとちょっかいをかけてくるけど,その全部が楽しかったことだとか,実際京都に行ってしまったらきっと物凄くへこんでいたであろうこととか,緊張と君が前にいることの嬉しさをごまかしながら秋葉原を巡ったり…廃墟探索は本当に楽しかったんだ,行く前からずっと楽しみにしていた.
僕は君を独り占めしたくてしょうがないのだと思う,ずっと前からそうだったのだと思う.
遠く離れていることや専攻が違うことで,独り占めできないことが,僕にはとても苦しかった.
君はとても魅力的な人だから,それだけ僕は不安でした.
遠くにいるのだから仕方ない,ということを,必死に自分に言い聞かせるように,君の前でも悔やむような言い方をしていました.
もっとそばがよかった.
君のことは僕が支えていきたい,僕は君のことしか好きになれません,君のことが一番好きです.
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